◎ 非上場株式の適正な取引価額は?



個人 や 法人が、所有する非上場株式を譲渡するときの適正な時価は?
− 財産評価基本通達を援用する場合 −




◆ 非上場株式の時価 と 適正な取引価額の判定


非上場株式の取引の当事者 時価の算定の方法
譲渡者譲受者
個 人法 人個人:所基通 59−6 により時価を算定する
法人:法基通 9−1−14 により時価を算定
内容は
ほぼ同じ
(下記)
法 人法 人法基通 9−1−14 により時価を算定
個 人個 人財基通178〜189-7 を援用して時価を算定(⇒)



所得税法基本通達 59−6 (株式等を贈与等した場合の 「その時における価額」 】

  • 法第59条第1項の規定の適用に当たって、譲渡所得の基因となる資産が株式等
       である場合の同項に規定する 「その時における価額」 とは、23〜35共−9
      (株式等を取得する権利の価額 客観的交換価値) に準じて算定した価額による

      この場合、23〜35共−9の(4)ニに定める 「1株当たりの純資産価額等を参酌
       して通常取引されると認められる価額」 とは、
     
     ● <原則として>、次によることを条件に、

    ■ 「財産評価基本通達」178から189-7 (取引相場のない株式の評価) の例に
    より算定した価額とする

    条件 (1) 譲渡 又は 贈与直前の議決権数等により判定
    条件 (2) 株式等を譲渡 又は 贈与した個人がその株式の発行法人にとって
    「中心的な同族株主」 に該当するときは、
    当該発行会社は常に 「小会社」 に該当するものとしてその例によること
    条件 (3) 及び 条件 (4) ← 「1株当たりの純資産価額」 の計算上



  • 法人税法基本通達 9−1−14 (上場有価証券等以外の株式の価額の特例 】

  • 法人が上場有価証券等以外の株式 (9-1-13の (1) 及び (2) を除く) について
      法第33条第2項 (資産の評価損の損金算入) の規定を適用する場合において、

    事業年度終了の時における当該株式の価額につき

    ■ 「財産評価基本通達」178から189-7 (取引相場のない株式の評価) の例に
    よって算定した価額に よっているときは、

    ● <課税上弊害がない限り>、次によることを条件としてこれを認める

    条件 (1) なし
    条件 (2) 法人がその株式の発行法人にとって
    「中心的な同族株主」 に該当するときは、
    当該発行会社は常に 「小会社」 に該当するものとしてその例によること
    条件 (3) 及び  条件 (4) ← 「1株当たりの純資産価額」 の計算上



  • 法基通 2−3−4低廉譲渡等の場合の譲渡に係る対価の額

  • 法人が無償 又は 低い価額で有価証券を譲渡した場合における・・・・・・・・
      対価の額の算定に当たっては、4-1-5 及び 4-1-6の取扱いを準用する
      <法基通 4-1-6>
      (資産の評価益の益金算入の場合の非上場株式の期末時価の取扱い)

  • 法基通 9-1-14 と 法基通 4-1-6 は、同内容であり、
    株式の譲渡益課税における適正時価の算定にも準用することとされている

    以上から ↓ まとめ

    下記の表の
    「純資産価額」 の内容
  • 上場有価証券及び土地等は譲渡時又は贈与時の時価
    (譲渡者が法人の場合は、事業年度末の時価)
  •  法人税等相当額は控除不可
  •  









    個人

    法人
    が(注)
    中心的な同族株主
    の場合 (→小会社)
    <類似業種比準価額×0.5 + 純資産価額×0.5>
    と <純資産価額> の低い金額
    中心的な同族株主
    以外の同族株主
    の場合
    大会社類似業種比準価額 と 純資産価額 の低い金額
    中会社類似業種比準価額×L+純資産価額×(1−L)
    純資産価額 の低い金額
    小会社類似業種比準価額×0.5+純資産価額×0.5
    純資産価額 の低い金額
    上記以外の5%未満
    の同族株主
    の場合
    (※)
     配当還元価額
    同族株主以外の株主
    の場合

    (注) 譲渡者が、個人の場合は譲渡前で、法人の場合は譲渡後で判定
    (※) 役員でない者 及び 申告期限までに役員となっていない者

    「役員」 とは、社長、理事長、副社長、代表取締役、専務取締役、専務理事、常務取締役、
    常務理事、監査役 及び 監事をいい、「平」 取締役は含まれない (評基通188(2))



    # 次の場合には、売主 ・買主との間で適正な取引価額が異なってきます
    売  主買  主:考え方

    同族株主である個人
    (会社支配層)
    取引先の法人
    (会社非支配層)

    :売主:原則的評価
    買主:特例的評価
    非同族株主である個人
    (会社非支配層)
    持株会社である法人
    (会社支配層)
    :売主:特例的評価
    買主:原則的評価
     

    同族株主である法人
    (会社支配層)
    従業員個人
    (会社非支配層)

    :売主:原則的評価
    買主:特例的評価
    非同族株主である法人
    (会社非支配層)
    同族株主である個人
    (会社支配層)
    :売主:特例的評価
    買主:原則的評価
     

    同族株主である法人
    (会社支配層)
    取引先の法人
    (会社非支配層)

    :売主:原則的評価
    買主:特例的評価
    非同族株主である法人
    (会社非支配層)
    同族株主である法人
    (会社支配層)
    :売主:特例的評価
    買主:原則的評価


    節税


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    個人や法人が保有する非上場株式を譲渡する場合、実務ではその価額をいくらにするかが問題となります。



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